全館連続暖房が可能にする開放的な間取り

全館連続暖房を前提とした開放的な間取り

典型的な戸建を開放的にした例をお見せします。
LDKと玄関、廊下は扉で仕切られていません。2階に大きめの廊下を作り、この空間を、吹抜けと階段で、1階のLDK、廊下と繋げています。暖房はLDに設置したルームエアコンやファンヒーターの連続運転で行います。冷房は2階廊下に設置したルームエアコンの連続運転で行います。寝室の扉をルーバー式にすることで、扉を閉めても寝室の暖房・冷房が可能です。オープンな間取りにすることで、最大温度差は2℃から1℃程度に改善します。

開放的な間取りは寒くありません

玄関とLDの間に扉が無いと、LDは寒くなると心配される方は多いと思います。
玄関扉を開けた途端、冷たい空気がLDに流れ込み、温まった部屋が寒くなってしまうと思う方も多いと思います。
家全体が温まっていると、玄関から冷たい空気が多少流れ込んでも、それ程冷たく感じません。家全体が温まるという事は、空気だけでなく、壁、床、天井、家具のすべてが同じ温度になっている事です。
木造住宅の蓄熱量は少ないと言われています。それでも、家具などを含めると水5,000リットル程度はあります。これはお風呂の水28杯分に相当します。一方、家中の空気の蓄熱量はお風呂の水半分程度です。
玄関扉を開け、家全体の空気 (20℃) の1/4が外気(5 ℃)と入れ替わったとしましょう。この場合、冷えた空気はまたたく間に家中の物(壁、床、天井、家具等)によって温められます。家の平均温度は約0.13℃低下します。一旦温まった家は簡単には冷えません。一旦冷えた家は温めるのに時間がかかるという事でもあります。ルームエアコン1台で、10℃まで冷えた家を20℃に暖めるには、約半日必要です。空気温度を上げるのにはそれほど時間は掛かりませんが、壁面や物の温度を上げるのには時間が掛かるのです。
断熱性が低い、部分間歇暖房の家はどうでしょう。12畳のリビングダイニングを暖房しているとします。内面(壁、天井、床)温度は16℃とします。内面温度が低い為、体感温度を20℃にするには空気温度を24℃にする必要があります。温度10℃の廊下に通じる扉を開け、リビングダイニングの空気の半分が入れ替わったとします。この場合、空気温度は17℃まで下がり、体感温度は16.5℃になります。
家全体が温まっている場合は、たとえ多くの外気が入ってきてもそれ程不快感はありません。断熱性が低く内面温度が低い場合は廊下の空気が入ってきただけで、寒くなってしまうのです。

開放的な間取りはオーバーヒートを抑制します

高断熱の家は、冬の晴れ日にオーバーヒートすると言われます。
部分間歇暖房では日当たりが良い部屋がオーバーヒートする可能性があります。廊下が16℃で日当たりが良いLDが27℃と言う状態です。
開放的な間取りではオーバーヒートは簡単には起きません。温まったLDの空気は廊下などの日当たりが悪い場所に広がり家全体を温めてくれます。家の日当たりによりますが、家全体の温度がゆっくり上がり、家全体で蓄熱します。家の最高温度は23℃に達するかもしれません。日が沈み、気温が下がり始めると家の温度はゆっくり下がり始めます。家全体が蓄熱している為、温度はゆっくり下がります。就寝時に家の温度は20℃までさがり、暖房を開始します。